コラム【column】

第1回 著作権の管理
行政書士 野見山一星

 この度、株式会社シンカ社長野口氏より著作権に関して私が日々得ている情報や考えなどを公表させて頂く機会を頂いた。
そこで、著作権の身近な話題や政策動向、さらには肖像権など著作権と密接に関連する分野についても触れたいと思う。

 今回は著作権の管理についてである。

●自己と他人の著作物、それぞれの管理
  最近の著作権に関する話題の一つに「著作権の管理」がある。これは企業が制作した著作物の権利管理や、企業が利用している第三者の著作物(ソフトウェアやストックフォトなど)の管理のことだ。後者の方が最近は何かと話題だ。

●ソフトウェア等の著作物の管理
 私たちは普段、ソフトウェアを各ソフトウェアに付属しているソフトウェア利用許諾書に従って利用している。
多くの市販ソフトウェアの利用許諾書には、パソコン1台につき1つのソフトウェアをインストールできる旨が定められている。
消費者がソフトウェアを利用する場合は、大抵パッケージを1つ購入し、パソコン1台で利用することがほとんどだろうから、管理が難しくなることは無いだろう。
ところが企業がソフトウェアを利用する場合は状況が異なる。
企業においては、複数のパソコン、ソフトウェアを利用することが多いため、何台のパソコンが事業所にあり、どのパソコンにどのソフトウェアがインストールされているのか分かりにくく、管理が難しい。
従業員がプライベートなノートパソコンを持ち込んで仕事をしている場合はさらに管理が難しくなる。
もっともソフトウェアの管理について、ほとんどの大手ソフトウェア会社はユーザー登録制度をとっているため、登録状況を照会すれば事業所内で利用できるソフトウェアの種類、数といったライセンス状況が把握できる(無論、きちんとユーザー登録していればの話だが)。
また、高価ではあるが特定のネットワーク環境にインストールされたソフトウェアの種類、数などを自動的に調査、集計してくれるビジネスソフトも登場している。  
このようにしてソフトウェアを適切に管理することにより、違法コピーを無くし、企業のコンプライアンス(法令遵守)を高めるとともに、以下のような効果 が期待できる。

◎使われていないソフトウェアを見つけだし、バージョンアップして再活用する
◎余計なソフトウェアを排除して、仕事環境のスリム化を図る
◎必要なソフトウェア数を把握して割安な複数ライセンスを購入し、経費を削減する
◎オリジナル著作物の管理
 
  一方、オリジナルの著作物を第三者に依頼して制作する場合、そのライセンス管理は以上に述べた著作物の管理に比べてさらに困難だ。
例えば、写真をカメラマンに撮影依頼した場合、イラストをイラストレータに制作委託した場合、業務用コンピュータプログラムをソフトハウスに開発委託した場合などがその例である。
   
 第三者に制作委託した著作物について、その管理の難しさを象徴するちょっとした事件がある。
平成17年5月24日に文化庁がインターネットで「著作権契約書作成支援システム」というシステムの運用を開始した。
ところが、そのウェブサイトのトップページにおいてアップルコンピュータ社の「Mac OS X」に付属するソフトウェアのアイコン画像を無断で盗用していた。文化庁は直ちに当該ウェブサイトを閉鎖し、2日後の5月26日に、盗用を認め、アップルコンピュータ社に謝罪した、という事件だ。
この背景には、文化庁が、当該ウェブサイトの制作を外郭団体を通 じて外部に委託しており、委託先の著作権管理状況までは把握しきれなかったという事実がある。
実際、中小の事業者が第三者に制作を委託する場合に、合法的な著作物が完成するのか判断することは難しい。

 業務を委託する際に、相手がコンプライアンス(法令遵守)をどの程度行っているのか。
契約書の作成状況や、過去の取引状況から判断していく必要がある。 著作権管理は管轄官庁である文化庁でさえ容易ではないことからすれば、私たち市民、事業者が多少失敗することもやむを得ないところである。
ただ、適切な著作権管理は、法的リスク回避や事業の効率化につながるのであるから著作権の管理について見直してみてはいかがだろうか。

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